ドラマCD ヒミツのショートストーリー

【MARGINAL#4 ドラマCD~星降る夜の、クリスマス~ RTキャンペーン達成特別SS】

クリスマスパーティーの翌朝。
全てが片付けられた後の事務所は、いつも通りの静けさに包まれていた。
しかしいつもと違ったのは――。

「プレゼント?」

事務所に入ってすぐの入口に置かれた、9つの包み。
色とりどりの包みは大きさもバラバラ。
アールは、恐る恐るオレンジの包みに手を伸ばす。

「野村、アール、様へ」
「ア、アールさん大丈夫ですか? 爆発とか、しないですよね!?」
「爆弾だったら箱を持ち上げた時点で爆発するだろ……」
「分かんないよ。時限爆弾かもしれないし」

怖いのか楽しんでいるのか分からないユニコの3人を尻目に、
アールは箱の中の音を聞いたり、揺すったりしてみたが、
爆発する感じはなさそうだと思い、安堵のため息をついた。
その時――

「はよーっす!」
「「うわああああああ!」」

元気よく入ってきたアトムに驚くアールとテルマ。
バクバクと高鳴る胸を押さえて振り向くふたりに不思議な顔をするアトム。
その後ろから、ルイとエルが入ってきた。

「大きな声を上げて、どうしたんですか?」
「なになにー? なんか爆発でも起きたの?」
「爆発より質が悪いよ……!」

涙目のアールが、エルに答える。
ふと、アトムはアールの持っている包みに気付く。

「ん? アール、その包みなんだ?」
「ああ、これ? 実は、事務所の前に包みが置いてあってね。
 プレゼントみたいなんだけど、みんなの名前が書いてあるだけで差出人の名前も住所も何も書いてないんだ」
「……ここは事務所の中です。一般人は入って来れない……ということはファンからのプレゼントではありませんね」
「ってことは……」

「サンタからだーーーーー!」

「はぁ……また、始まりましたね」
「でも、たしかに差出人の名前も書いてない。ファンからのプレゼントじゃない。
 そしたら、サンタの可能性にかけてみてくなるよね!」
「夢はありますね」
「……アホらし」
「ツバサクン! ダメだよそんなこと言っちゃ!」

目を輝かせながらサンタのプレゼントだ、と騒ぐアトムを眺めていた6人のところに、
シャイとキラがやって来た。

「おはよう。ん? どうしたんだ、こんなところに突っ立って」
「つか、アトムの声デケーよ……外まで聞こえてんぜ」
「おはようございます、シャイさん。キラさん。
 実は、謎のプレゼントが届いていて、サンタさんからなんじゃないかってアトムくんがはしゃいでて……」
「サンタがプレゼントを?」

アールの言葉を受けたシャイは、積まれた9つのプレゼントに手を伸ばす。
自分の名前が書いてあるカードをひっくり返すと、『Merry Xmas』とキレイな字で書いてあった。
その字を見たシャイはあることに気付き、アトムへと振り返った。

「アトム、良かったな。これはサンタからのプレゼントだ」
「だよな! スゲー! サンタって事務所の場所まで分かるのか!」
「ルイたちも、自分の名前が書いてあるプレゼントを持っていけ。キミたちにもサンタからのプレゼントだ」
「ホントー!? やったー! はい、アールとルイくんの分!」
「ありがとう!」
「ありがとうございます」
「ねぇねぇ、後で見せ合いっこしよっ!」
「全員一緒なんじゃねぇの?」
「大きさ違うから、別の物だと思うよ」

それぞれがプレゼントを貰い喜ぶ中、キラはシャイの発言に疑問を持っていた。

「なぁ、なんでサンタから、なんてウソついたんだ?」
「ふっ、ウソと言ってしまえばそれまでだが……まぁ、彼女はサンタになりきってこのプレゼントを置いたんじゃないか?」
「彼女?」

そう言いながら、シャイはカードの裏面に書かれた『Merry Xmas』の文字を指でなぞった。

「この字体、社長の字だ」
「……なるほど。そういうことか。んじゃ、俺も遠慮なくプレゼントを頂きますかね」

ひょいっと軽い手つきでプレゼントを拾い上げるキラ。
そして、シャイのプレゼントを指さす。

「オマエのプレゼント、当ててやろっか? シナモンロール」
「勝手に決めるな」
「だって、そんぐらいのサイズの正方形の箱でシャイへのプレゼントだったらシナモンロールだろ」
「なら、キラのプレゼントは有名カレー店のレトルトカレー詰め合わせだな」
「うわ……ホントにそんな気がしてきた」

ふ、とひとつ微笑みを零したシャイは、気持ちを切り替え、いまだに騒ぐアトムに一喝する。
彼らのクリスマスは、もう少し続きそうである。